「草木染め」は植物に含まれる天然の色で布や糸を染める染色方法です。
時間がかかるのでなかなか普段はチャレンジできませんが
材料がそろえば1日~2日でできるので、夏休みの自由研究にも良い題材になります。
小学生低学年の場合は染めたものを工作の代わりに提出しても良いですし
小学生高学年~中学生の場合は少し発展させて材料や染め方の違いで比較してみたり
布を染めるだけでなく、自分なりにアレンジして研究してみても面白いですね。
自由研究にぴったりな草木染め
自由研究に使いやすい材料を集めてみました。
簡単に入手できて、染まりやすく失敗が少ないもの、染めて楽しいものをご紹介します。
野菜染め
野菜染の材料はスーパーに売っているのですぐに手に入ります。
買わなくても冷蔵庫の中にあるかもしれません。
食べた後の捨てる部分(皮など)で染めることができます。
玉ねぎの皮染め
草木染めはあまりはっきりとした色が出ないものが多いですが
玉ねぎ染めははっきりとした色が出ます。
色が薄いと写真を撮っても染まっているのかどうか分からない写真になってしまうので
写真を使ってまとめる場合は濃い色に染まる玉ねぎがおすすめです。
濃く染まった方がやっていても楽しいですしね♪
媒染液での違いもはっきりと出るので自由研究にするには分かりやすい材料です。
中サイズの玉ねぎ1個分の皮でハンカチ2~3枚くらい染まります。
3枚以上はやったことがないので分かりませんが、少し色が薄くなるかもしれません。
媒染剤を変えると色々な色になります。
左からクエン酸・ミョウバン・銅・鉄の媒染液を使いました。
玉ねぎの皮で草木染(玉ねぎ染め)のやり方~自宅でも簡単 (ミョウバン・銅媒染・鉄媒染)
茄子の皮染め
茄子も入手しやすい野菜なので夏休みの自由研究にはぴったりです。
茄子の皮で染めるとグレー系の色になります。
紫にならないのが意外ですね。
媒染液の違いは小さく、ミョウバン媒染、銅媒染、鉄媒染、
微妙に違う色にはなりますが全てグレー系の色になります。
違う媒染剤で比較する場合は玉ねぎの方が向いているかもしれません。
左は煮出した染液につけたあと焼きミョウバンで媒染
真ん中は煮出した染液にクエン酸を入れてピンクにしてから染めて、焼きミョウバンで媒染
右は煮出した染液にクエン酸を入れて染めて媒染なし(クエン酸が媒染剤の代わり)
なすの皮で草木染め、綿のハンカチを紫色に染める方法
花びら染め
花びら染めは咲いている花で布を染めます。
育てるところからやると楽しいですね。
学校で育てた朝顔やひまわりがあればチャレンジしてみてください。
染液を作るのにいくつも花が必要なのが少し大変かもしれません。
1日で必要な量が集まらない場合
花を乾燥させてしまうと色が出なくなるので
冷凍庫で保存しながら花を集めてください。
ひまわり染め
ミョウバンできれいな黄色に染まります。
媒染剤による違いも出やすいですが、必要量を集めるのがちょっと大変です。
花びらだけで足りない場合、茎や葉っぱも使えます。
種は油分が多いので草木染めには使いません。
染める布と同じくらいの重さ(量)があれば染まります。
例えば10gのハンカチ1枚を染めるのに10gのひまわりが必要です。
ひまわりの量がそれ以下だと少し色が薄くなるかも。
朝顔染め
朝顔も花が小さいので必要な量を集めるのが大変です。
毎日少しずつ冷凍しながら集めても良いですが
少ししか花がない場合は「草木染め」ではなく
「たたき染め」とか「こすり染め」とか
和紙に写し取ってもみても面白いかもしれません。
お茶染め
緑茶や紅茶などの家にあるお茶で布を染めることができます。
でがらしでも出来るので経済的です。
紅茶染めも緑茶染めも茶色系の色に染まるので、色的にはあまりおもしろくないかもしれません。
媒染剤による違いもあまりはっきりとは出ません。
緑茶染め
緑茶染めは緑に染まりそうですが、実際は黄色~茶色系の色になります。
綿のハンカチの緑茶染めです。
左から
鉄媒染・銅媒染・アルミ媒染(焼きミョウバン)・豆乳処理なしのアルミ媒染・クエン酸
鉄媒染以外は似たような色になりました。
お家で簡単できる緑茶染め~クエン酸・みょうばん・銅・鉄媒染でやってみた
紅茶染め
紅茶も茶色になります。
↑ 靴下を染めた時の写真です。
使った媒染剤は左から 塩・クエン酸・焼きミョウバ
左が鉄煤煙、右が銅媒染
この2つは結構濃く染まりました。
紅茶染め(草木染め)のやり方 色止めは何がいい?
緑茶や紅茶以外にもハイビスカスティーやカモミールなどのハーブティーでも染めることができます。
ハイビスカスティーはやり方によってはピンク色に染まります。
媒染剤による違いはあまりはっきりとしません。
ハイビスカス染めのやり方 基本の媒染3種類とクエン酸でピンク色に染めたい♪
カモミールは黄色~茶色に染まり、媒染剤による違いがはっきりと出るので
違う媒染液で比較するのに向いています。
時短で草木染め
カレー粉
はっきりとした黄色や茶色に染まります。
カレー粉の中のターメリック(うこん)の色なので、ターメリック(うこん)で染めても同じような色になります。
染めている最中はカレーのにおいがすごいです ( ̄▽ ̄;)
よく洗っても水洗いではにおいが取れないので洗剤か石鹸で洗う必要があります。
左から 鉄媒染・銅媒染・アルミ媒染(焼きミョウバン)・クエン酸
全部きれいな黄色になります。
鉄だけ少し暗い黄色です。
ぶどうジュース
ジュースをそのまま染液にするので、染液を煮る作業を省くことができます。
紫系~グレー系の色になります。
媒染剤による違いは出にくい材料です。
ぶどうの紫はアントシアニンで酸性とアルカリ性で色が変わるので
草木染めだけでなく色変わりの実験をやっても楽しそうです。
ジュースのメーカーによっては原材料に色素と書いてあるので
その場合はぶどう染めとは少し違う色になるかもしれません。
ぶどうジュース染めのハンカチです。
使った媒染剤は左からクエン酸・焼きミョウバン・銅・鉄です。
クエン酸は薄ピンクになりましたが、あとはうす紫とグレーを混ぜたような色です。
ブルーベリージャム
ジャムもジュースと同じで、煮出さなくても染液ができるので草木染めを時短でやりたい場合は便利です。
紫系~グレー系に染まります。
媒染剤による違いは出にくい材料です。
草木染めのやり方
草木染の材料が決まったらさっそく染めていきます。
① 材料の準備
【使うものを用意 用意するものは?】
・なべ
・ボウル
・菜箸
・中性洗剤
・不織布の排水溝ネットやお茶パックなど
(こし器や目の細かいざるでもOK)
・布(糸)
・染液を作る材料(玉ねぎの皮・茄子の皮・お茶など)
・焼きミョウバンかクエン酸(媒染剤)
・豆乳(牛乳)
布はウールや絹はよく染まります。
綿や麻は少し染まりにくいので下処理をしてから染めます。
下処理は一度乾かすので、草木染めをする前日にやっておくとスムーズに作業が進みます。
(下処理のやり方は後ほど『草木染めのやり方 手順③』で説明)
ポリエステルはほとんど染まらないので草木染めには使えません。
草木染めに使うボウルや鍋は、ステンレスのもの、または金属以外の素材のものを使います。
アルミ鍋や銅鍋を使うと染色液と化学反応を起こしてしまい
布が染まりにくくなったり思ったような色に染まらないことがあります。
② 布を洗う
布の表面に油やのりがついていると色素が付きにくくなるので
中性洗剤で布をよく洗います。
③ 豆乳で処理 (綿・麻の布を使う場合のみ必要)
使う布が綿や麻の場合は染まりにくいので下処理を行います。
同じ量の豆乳と水を用意してボウルなどの容器に入れて混ぜます。
その液に布をつけて30分くらいおいておきます。
30分くらいつけた後は干して乾かします。
(草木染めをやる前日にやっておくのが良い)
④ 染液をつくる
材料と水を鍋に入れて煮ます。
排水溝用の不織布やネットに入れて煮ると後で取り出すのが楽です。
なければ後で漉し器でこします。
材料がかぶるくらいの水で20分くらい煮ると染液ができます。
緑茶、紅茶、カレー粉は5分くらい煮れば色が出ます。(20分も煮なくて良い)
カレー粉は粉なので少し扱いかもしれません。
染液に粉が残っていると、細かい粉が布の線維に入ってしまい、最後に洗うのがなかなか面倒です。
漉し器やざるでは目が粗すぎて漉せないので
コーヒーフィルターやキッチンペーパーで漉すわけですが
目が詰まってしまい結構時間がかかります。
洗うのも大変、漉すのも大変という。。。
なのでうちでは中間を取ってお茶パックに入れて煮込み漉さずに布を入れてしまいます。
お茶パックでも粉は出てきますが少しはましなので、後は最後に頑張って洗います!
ぶどうジュースはそのまま使うので煮る必要はありませんが冷たいと染まりにくいので鍋かレンジで少し温めておくと染まりやすくなります。(沸騰させてしまってもOK)
ジャムの場合はジャムと同じ量の水を混ぜて使います。
ジャムも少し温めておいた方が早く染まります。(沸騰させてしまってもOK)
⑤ 染液につける
野菜の皮、花びら、お茶は漉し器やざるで漉します。
作った染色液に布を20~30分くらいつけこみます。
鍋で煮ながら漬け込むと色が付きやすくなります。
玉ねぎの皮とカレー粉は煮なくても色が付きます。
ジュースやジャムは冷たいと染まりにくく、色がつくまで時間がかかります。
少し温めておくと20分くらいで色が付きます。
温める時に沸騰させてしまっても大丈夫です。
⑥ 媒染液を作る
焼きミョウバンをお湯に溶かします。
冷めた水では溶けにくいので沸かしたてを使うのがおすすめです。
溶け残りがあっても染まらないということはありませんが
ミョウバンが布の一部にたまるので色の付き方がむらになりやすくなります。
また、温度が高い方が化学反応が進みやすいので、色が定着しやすくなります。
焼きミョウバンの量は染める布に対して5%くらいの重量
と言われていますが、そんなに正確に測らなくても大丈夫です。
だいたい1Lのお湯に対して焼きミョウバンを小さじ1~2杯くらい溶かすくらいが良いかと思います。
(ミョウバン以外の媒染液の作り方は後ほど比較実験のところで説明)
⑦ 媒染液につける
20~30分染液につけた布を良く絞って媒染液につけます。
媒染液には20分~30分くらいつけておきます。
⑧ 染液につける
媒染液につけた布をしぼってから、もう一度染液に5分くらいつけます。
⑨ よく洗って乾かす
よく水洗いして余分な色素や媒染剤を落とします。
そして日陰に干してよく乾かします。
草木染めの自由研究で色々比較してみる
草木染めは使う材料、染める布、媒染の種類などが変わると染まり方も変わります。
染めるだけでは自由研究としては物足りない
という場合、色々と比較観察してみるのも面白いと思います。
自由研究の結果をまとめる時のために
布が染まって乾いたら写真を撮っておいてください。
染めた布を自由研究提出用に貼り付けても良いですが、草木染めは化学染料と比べて不安定です。
時間がたつと色が変わったり色落ちしたりします。
比較実験んをした時ははっきりと違いが出ていたのに
時間がたって提出する時には色が変わってあまり違いが分からなくなってしまった
なんていうことはよくあります。
なので、色を比べる実験をした時は特に
写真を撮っておくことをおすすめします。
違う媒染剤で色を比較
草木染めは使う媒染剤の種類によって色が変わります。
色々な媒染剤で染めて色を比べてみるのも面白いです。
中にはあまり色の差が出ないものもあります。
媒染剤による違いがはっきり出るのが玉ねぎ染めです。
玉ねぎ染めで使った媒染剤は左からクエン酸・焼きミョウバン・銅媒染・鉄媒染です。
媒染剤の種類だけだなく
布の種類によって色が微妙に違うので
比較実験をする場合は同じ布と材料を使って染めてください。
媒染剤が変わっても染める方法は同じです。
焼きミョウバンの代わりに他の媒染剤を使います。
【銅媒染】
銅の媒染剤は手作りすることもできます。
通販で購入もできます。
市販のものは説明の通りに希釈して布をつけます。
この銅媒染液は染める布の重さに対して5~10%
と書いてあるので
20gのハンカチを染めるのに小さじ半分くらい使っています。
ステンレスか金属以外の容器に布全体がつかるくらいの水(お湯)を入れて
小さじ半分の銅媒染液を混ぜてから布をつけます。
【鉄媒染】
鉄媒染液も錆びた鉄釘があればできますが、市販の媒染液を購入することもできます。
市販のものは説明の通りに希釈して布をつけます。
この鉄媒染液は染める布の重さに対して5~10%
と書いてあります。
なので媒染液の作り方は銅媒染と同じです。
【酸】
酸性のものも媒染の代わりに使えます。
クエン酸・酢・酢酸などが使えます。
クエン酸は掃除用や食用のものがドラッグストアやスーパーなどに売っています。
だいたい5~10%のクエン酸水を作って媒染液として使います。
水1Lに対して50g~100gくらい使います。
大さじ1杯でだいたい10gなので
1Lの水に大さじ5~10杯を溶かせば媒染液の出来上がりです。
酢はスーパーにある米酢や穀物酢など、なんでもOKです。
酢と水を同量まぜて使います。
酢酸はドラッグストアや薬局にありますが、扱っていない店も多いようです。
ネットでは普通に購入できます。
劇薬扱いではないようですが、酸度が高く肌についたり目に入ったりすると危険なので、
わざわざ酢酸を購入しなくても、食酢かお掃除用の酢酸で十分だと思います。
媒染液の作り方はクエン酸と同じで5~10%の酢酸溶液を作って媒染液にします。
【塩で媒染剤】
塩の中にはマグネシウムが入っているので
塩も媒染剤として使うことができます。
お料理に使う食卓塩とか粗塩とか、なんでもOKです。
普通はどのくらいの量を使うのかよく分かりませんが
お湯500mlに大さじ2杯ほど入れて30gの布を染めた時は
ちゃんと色止め効果を発揮してくれてきれいに染まりました。
紅茶染です。
使った媒染剤は左から塩・クエン酸・焼きミョウバン(アルミ媒染)です。
発色効果はアルミ、鉄、銅など金属が持つ特徴です。
金属の媒染剤は色素と化学反応を起こして色が鮮やかになったり違う色になったりします。
これを発色効果と言います。
塩の場合はマグネシウムが反応しているようですが、色の変化はあまりありません。
酸(酢・クエン酸・酢酸など)も発色効果はあまりありませんが、
アントシアニンのようなpHによって色が変化する色素の場合は、酸を入れることによって色が変わります。
色止め効果は金属や塩、酸が持っている特徴です。
色素と繊維を結びつけて色素を布に定着させます。
そのおかげで媒染をすると布を洗っても色が落ちにくくなります。
塩や酸よりもキ金属の方が結び付きが強く、色止め効果が高いと言われています。
色落ちの仕方で比較
草木染めは使っているうちにどうしても色落ちしてきます。
『媒染剤の違いによる色を比較』でも説明しましたが
塩や酸よりもキ金属の方が強く結び付き色止め効果が高いと言われています。
なので
媒染剤なし
焼きミョウバン(アルミ)
クエン酸
塩
で染めたものを何回か洗濯してみて、色がどう変化するか観察するのも面白いと思います。
コレはやってみないとどうなるか分かりません。
媒染剤なしはすぐに色落ちしそうですが、
媒染剤ありはもしかしたらあまり差がない、という結果になるかもしれません。
媒染剤の違いだけでなく布の種類によって染まり具合や色落ちの仕方が違うので
比較実験をする場合は同じ布と材料を使って染めてください。
草木染めの色止めに使えるものは?色落ち防止のコツは?
布の違いによる比較
材料と媒染剤が同じでも、布の種類によって染まり方が違います。
綿や麻は染まりにくく、ウールや絹は染まりやすいです。
同じやり方で違う布を染めてみたらどんな違いが出るか観察してみてください。
下処理の有無による違い
綿や麻は染まりにくいため、染色する前に下処理や濃染処理をします。
もしも綿や麻の布の下処理をしなかったら
染まるのか染まらないのか?
使う布や材料によって、あまり染まらなかったり、薄い色に染まったり色々だと思います。
同じ布で下処理をした場合としない場合でどんな違いが出るか観察してみてください。
玉ねぎ染めは下処理をしなくても良く染まりますが、色が違います。
綿75%の靴下を玉ねぎ染めしてみました。
左が下処理なしで右が下処理したものです。
全然違う色になりました。
これは綿100%のハンカチの玉ねぎ染めです。
左が下処理なしで右が下処理したもの。
布によって染まる色が違うので、下処理の有り無しで比べる場合は同じ布で比較してください。
まとめ
【濃く染まりやすいのは?】
玉ねぎの皮染め
【数種類の媒染剤で比較する場合違いが出やすいのは?】
玉ねぎの皮染め
カモミール染め
ひまわり染め
【捨ててしまうもので染めるエコな草木染め】
玉ねぎの皮
茄子の皮
紅茶やお茶の出がらし
【時短で草木染め】
ぶどうジュース
ブルーベリージャム
カレー粉
【草木染めのやり方】
1 材料の準備
↓
2 布を洗う
↓
3 豆乳で処理 (綿・麻の布を使う場合のみ必要)
↓
4 染液をつくる
↓
5 染液につける
↓
6 媒染液を作る
↓
7 媒染液につける
↓
8 染液につける
↓
9 よく洗って乾かす
【草木染めの自由研究で色々比較してみる】
・違う媒染剤で色を比較
(ミョウバン・銅媒染・鉄媒染・酸・塩)
・違う媒染剤で色落ちの仕方を比較
・布の違いによる比較
・綿(麻)の下処理をした時としない時の色の比較